LEDの話

20世紀までのピンボールはメイン照明にLEDは使用されていませんでしたが、21世紀からは徐々に切り替えられていきました。ここでは、旧電球(以下、電球)をLED(互換品)に置き換える際の紹介をします。

LEDの最大のメリットは、従来の電球よりも省電力であり、熱を出さないことです。エレメカマシンであれば、消費電力は3分の1~4分の1になり、その他のマシンでも、およそ2分の1になります。

LEDに置き換える際に注意する事は、「仕様電圧」「型番」「方向」です。型番が違えばソケットに差し込めないので、誤って取り付けることは無いと思いますが、仕様電圧を誤ると、故障することがあるので注意が必要です。

仕様電圧は、主に、6~6.3V、12~13Vのものが多く、ごく稀に28Vのものがあります。ほとんどが6Vまたは12Vのタイプです。

型番は、ソケットのタイプに直結します。下記に述べる、#555と#906は差し込む部分に関しては物理的な互換性がある場合もあります。(電気的仕様は別です)

方向は、LEDの一般的な特性として、単一方向にしか光を発しません。従って、電球のように360度の全方向に光を発することができないため、全方向に光を疑似的に発するために、一つのLEDソケットに、複数の方向に対してLEDを貼り付けているものがあります。単一方向だけのものをOne Directional、疑似的全方向のものをMulti Directionalと言って区別しています。

通常のLEDは非常に値段が高いため、筆者は互換使用できる安価なもので代用しています。

旧タイプのピンボールに使用されている電球は、主に下記の型番が使用されていました

・ #555
・ #44
・ #89
・ #906

その他、稀に#455(#456)、#545、#1251が使われているものもありました。#455(#456),#545はブリンキングランプといい、一定の間隔で点滅を繰り返す電球です。

 

#555

6~6.3Vの仕様で、Wedgeベースと呼ばれています。

1方向のLEDです。筐体の下部から光を当てる場所に適しています。輝度が明るいため眩しく感じます。極性があるため一方向でしか点灯しないので、取り付ける際は点灯する向きで取り付けなければなりません。内部には最低限の抵抗が入っているだけなので、ACではチラつきが発生します。ドーム部分が無いため、場所によっては取り付けや脱着が難しいところもあります。単価は20円を切るものもあります。(これ以降の単価は、国外からの輸入での価格です)

作りがもろいため、上部のLED搭載部を回すと壊れます。

 

1方向のLEDですが、覆っているフロストドームで拡散するため、疑似的に全方向に光るLEDです。ピンボール部品のサードパーティで販売されています。外観からはわかりませんが、内部には抵抗の他、コンデンサーを内蔵しているためチラつきを抑える機能が加えられています。但し、全くチラつかないわけではありません。また、内部にブリッジも搭載しているため、極性に関係なく取り付けられます。単価は150円前後です。

コンデンサを内蔵していない安価なタイプは、ややチラつきが出ますが、単価は安くなり100円前後です。

 

こちらもフロストドームタイプですが、一方向に特化しています。輝度が低く、照射範囲も狭いので、筐体の裏側から当てる、小さい丸型にしか適しません。ドームの分、単価が高くなります。単価は30円前後です。

 

#555のマルチディレクショナルタイプです。一般的に、マルチディレクショナルの方が値段が高くなりますが40円前後です。このタイプは輝度が明るいです。

 

#44

6~6.3Vの仕様です。筐体のバックグラス内や、常時点灯しているGI(General Illumination)の部分に使われることが多いです。#555タイプより値段は高い事が多いです。

ドームの部分が無いため、筐体の裏側から点灯させることに適しています。極性があるため一方向でしか点灯しませんが、通常はそのまま取り付けるだけで点灯させることができますが、たまに、逆極性のものがあります。逆特性の物はDCでは使用することができない為、点灯させることができません。内部には最低限の抵抗が入っているだけなので、ACではチラつきが発生します。ドーム部分が無いため、場所によっては取り付けや脱着が難しいところもあります。単価は40円前後です。

仕様上は、ACでもDCでも使えますと謡っているサイトがありますが、実際は極性が逆になっていてDCでは使えない場合もあるので頭に入れておきましょう。輸入の場合は、例え、不良品や表示に偽りがあったとしても実際の返品や返金対応は手間も時間がかかる上に、返金すらきちんとしてもらえない可能性もあるので、実質、どうすることもできないことが多いです。筆者は、中国からの輸入をよく利用しますが、数量不足、未到達を経験しています。

 

クリアドームタイプの#44LEDです。輝度が低いのと、照射範囲が狭いので、筐体の裏側から照らす小さめの丸にしか適しません。単価は30円前後です。

 

クリアドーム型の#44LEDです。上記の物は、高輝度、抗チラつきのもので、一方向でありながら多方向に見えるようにドームが細工されています。単価は150円前後です。

 

フロストドーム型の#44LEDです。上図の物は、高輝度、抗チラつきで、単価は150円前後です。

 

マルチディレクショナルタイプの#44LEDです。高輝度で、価格は50円前後です。

 

#89

12~13Vの仕様です。主にFlasherの部分に使われています。

#89LEDです。12~13Vの駆動でフラッシャーに使われています。古いマシンに多く使われていました。1990年代以降は#906タイプが併用されています。単価は80円前後です。

 

サードパーティ製のマルチディレクショナルタイプの#89LEDです。単価は180円前後です。

 

#906

12~13Vの仕様です。主にFlasherの部分に使われています。

一方向の#906LEDです。極性があるので点灯する向きで取り付けなければなりません。単価は70円前後です。

 

サードパーティ製の#906LEDです。極性が無いので、どの向きでも取り付けられます。単価は170円前後です。

 

サードパーティのマルチディレクショナル#906LEDです。極性不問です。単価は180円前後です。


マルチディレクショナルタイプの#906LEDですが、サードパーティ製より小さく、#555タイプと同じで駆動電圧だけ違います。#906の所に#555を使うとLEDが破壊されるので注意が必要です。高輝度なので、他の#906LEDタイプの代替えとして問題なく使えるでしょう。極性があるので、点灯する方向で取り付けなければなりません。単価は40円前後です。

 

中国からの輸入であれば、サードパーティで販売されているピンボール用のLEDと比較して、かなり安価に抑えることができますが、品質や輸送はあまり信頼できるものではありません。とはいえ、他国のサードパーティでも大元のメーカーが同じ場合があるので、輸送に信頼性があっても、品質に関しては何とも言えません。

ピンボールの部品を必要とするときは、総合的な条件を勘案して発注すると良いでしょう。